|
|
| a. |
基本的な考え方
血友病患者は、健常者に比べて出血時の止血に必要な血液凝固因子の一部が欠乏しているため、治療法は少ないものを補充する(補充療法)という考え方に立つ。つまり血友病Aの患者には第VIII因子製剤を補充し、血友病Bの患者には第IX因子製剤を補充する方法が行われる。
この補充療法における投与方法には、初回投与、連続投与、定期投与、予防投与、持続投与といった方法があるが、ここでは補充療法の基本的な考え方について説明する。
|
|
|
| b. |
治療製剤の投与量計算
製剤の投与量は、患者の体重及び出血部位や程度に応じて決められるが、実際に第VIII因子や第IX因子を患者の体内に投与した場合、どの程度輸注効果があるか(生体内回収率=輸注直後の凝固因子活性値/上昇期待値×100%)を知っておく必要がある。
血友病Aの場合については、健常人の血漿中の第VIII因子活性を100%とすると、体重1kg当たり第VIII因子製剤1単位(正常新鮮血漿1ml中に含まれる第VIII因子量)を輸注することによって、患者の血漿中第VIII因子は約2%上昇する。血友病Bについては、第IX因子製剤の生体内での回収率が第VIII因子に比べて低いので、体重1kg当たり第IX因子製剤1単位投与すると、血漿中の第IX因子は約1%上昇する。これを考慮した上で、次のような計算式に基づいて製剤の補充量を決定する。
血友病Aの場合:必要な輸注量(単位)=上昇期待値(%)×体重(kg)×1/2
血友病Bの場合:必要な輸注量(単位)=上昇期待値(%)×体重(kg)×1
体重50kgの血友病A患者の関節内出血に対して、第VIII因子活性を20%上げようと思えば、第VIII凝固因子製剤を500単位投与することになる。
なお補充された血液凝固因子は、投与後約30分〜1時間で最高活性値を示した後、徐々に減少していき、第VIII因子なら約15時間、第IX因子なら20時間で半減する。実際の補充療法ではそれらを考慮した上、出血の部位や程度に応じて補充計画をたてることになる。
血友病AあるいはB、出血の部位や程度に応じて補充する量と期間が変わってくる。そのため投与量については十分に主治医と相談する必要がある。
例えば、体重が60kgの血友病Aの患者で、関節内出血で第VIII因子レベルを20%まで上昇させたいと考えた場合、もしも500単位の製剤を使えば、因子活性は約16.7%上昇するが、やや目標血中第VIII因子レベル20%に足りない。1000単位の製剤を使った場合は、約30数%まで上昇する(図2.、図3)。
|
| |
|
|
 |
|
| 図2 目標因子レベルと投与量・体重(血友病Aの場合) |
|
|
| |
|
|
 |
|
| 図3 上昇期待値の計算(血友病Aの場合) |
|
|
| |
|
|
 |
|
| 図4 目標因子レベルと投与量・体重(血友病Bの場合) |
|
|
| |
同様に、血友病Bの場合は、図4のように投与量を計算する。 |
|
|
| c. |
治療製剤の種類
現在、血友病治療および類縁疾患の治療に使用されている主な血液凝固因子製剤および遺伝子組み換え製剤の一覧を表1に示す。
|
|
|
| |
表1
主な血液凝固因子製剤および遺伝子組み換え製剤の一覧 |
| |
種 類
 |
原 料
 |
成 分
 |
製剤名
 |
メーカー
 |
血友病A
治療製剤 |
ヒト血漿 |
第VIII因子製剤 |
クロスエイトM |
日本赤十字社 |
第VIII因子・
フォンヴィランド因子製剤 |
コンファクトF |
化学及び血清療法研究所 |
| 遺伝子組換え |
第VIII因子製剤 |
コージネイトFS
リコネイト |
バイエル薬品
バクスター |
血友病B
治療製剤 |
ヒト血漿 |
第IX因子製剤
第IX因子複合体製剤 |
ノバクトM |
化学及び血清療法研究所 |
|
プロプレックス |
バクスター |
| インヒビター治療薬 |
ヒト血漿 |
第IX因子複合体製剤
活性化血液凝固因子抗体迂回複合体製剤 |
プロプレックスST
ファイバ「イムノ」 |
バクスター |
| 遺伝子組換え |
活性型第VII因子製剤 |
ノボセブン |
ノボノルディスクファーマ |
|
|
|
*第IX因子複合体製剤には、主に第II・第VII・第IX・第X因子が含まれている。 |
|
|